乳幼児の視力の発達
人間の目は生まれてすぐはほとんど見えていません。その後、徐々に視力が発達し、平均して6歳ごろに成人と同じ視力になります。そのためには生後すぐから適切に目が使え、ピントが合っている像を見ていることが必要です。これらの条件がそろうことにより、頭の中の視力に関する部分が刺激され、見えるようになってきます。ほとんどの子どもは視力の発達を意識することなく成長しますが、一定の割合で発達が順調でない子がいます。
視力の正常値は矯正して1.0以上です。矯正してというのは、メガネやコンタクトレンズを使ってということです。裸眼視力が悪くても、メガネをかけて1.0以上見えれば視力は正常です。1.0の視力とは5m離れた距離から、直径7.5mmのCの切れ目がわかることなので、かなり小さなものまで見えているということです。
視力は上の図の水色の線のように成長にともなって徐々に向上します。オレンジ色の線は視力発達の感受性を表しています。18か月ごろがピークで、その後、徐々に低下し、10歳ぐらいでほぼなくなります。スポーツにたとえると、練習をすることでどんどん実力が伸びる時期です。この時期に、発達の障害となるような斜視や強い遠視、乱視などがあると、視力が向上しない可能性があります。眼球自体に病気がないのに、これらが原因となって視力の発達が順調でない状態を弱視といいます。
子どもは弱視があっても、周囲の人が気づくまで、自分の視力が悪いことをわかっていません。発達の感受性期に限界がありますので、早期発見、早期治療が大切です。